奇妙な体験

理解不能な奇妙な体験を残していく

公衆電話

(20XX/00/00)梅雨明け


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深夜の山中、麓付近の頂上へ向かうある道にぽつんと公衆電話があると聞いていた。

時刻は1時過ぎた辺りだったか暇で行く宛もなくドライバーと出発したドライブを続けていくと少し霧がかかってくる、湿度が高い。

窓など開けず会話しながら何気なくふと外を見たとき遠くにライトで明るく光っている公衆電話が見え「幽霊とか居たりしてね」と冗談を言って笑っていた。

近づかないと進めず近くになっていく、数メートルまえに近づいていた公衆電話によく見ると誰かが深夜に電話をしている。目を凝らしよく見てみると1人の女性が電話をしていた。

指を指しそのことを知らせると「きっと携帯電話の電池切れ」と言われたあと「脱輪したか車の単身事故じゃないの?」と返された。なにかトラブルなら止まって手助けに声でも掛けようかなんて気持ち悪いけどと互いに言いつつも公衆電話の側へと向かう。

近辺に車は見当たらない、単に個人的な事情があって公衆電話を使っているのだろうと解釈してその場を通過した。近場に民家などなく公衆電話まで移動するような何かも置かれてない「あんなところまで歩き」「民家まで遠いのにな」と会話して不気味ながらもドライブを続けた。


それから山を超え進み適当なところで帰ろうかとなり来た道を折返す、すっかりそれも忘れていると「そういえば思い出したけど、どこかの山にある公衆電話に幽霊が出るって聞いたんだけど、まさかあのあそこかな」と言われ反論するも少しゾッとする「帰り道またいるかな?」笑い話にしながら不安をけすようにその場付近を通る。

その公衆電話に近づいたとき女性を見かける事はなかった。緊張は一気にほぐれ笑いになった時「訳あり確定だね」と話しつつ車内から後ろを振り返るとあの同じ女性らしき人物が電話をしていたのが見えた。ドライバーの肩を叩き指を指し教えるとドライバーも振り返り「何時間も電話してることになるぞ」と居るのを確認した。

ドライバーは「あの話ここの公衆電話だわ」と何を思ったかハンドルを切りUターンをする、公衆電話前に行こうと気のせいだったというのか女性は消えてたとでもいうのか現れる事はなかった。

何もかも跡形もなく消えてしまっていた様子を車内から唖然と見つめたあと寡黙に帰路へと向かった。


あれから公衆電話のあれは何だったのかと話題になることは一度もなかった。


ー RAINBOW ー

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