カーブミラーに映らない女性
(1986/00/00/秋)
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当時特に仲の良い友達だけに誕生日の知らせをして自宅に来てもらっていた。
一通りお祝いも終わり場も和んできた時、肌寒かったその日ファンヒーターで部屋が暑く感じたのか友達が窓を開けた。そのまま外を見続けていた友達があまりに不動なままなので声を掛けると「ワンピースの女の人がいる寒くないのかな」と不安気な声で返答してくれた。
それはどこかと質問して教わるまま見てみると丁度自宅塀沿いに立っていた。覗き見ながら観察すると季節外れも常識範囲を超えたノースリーブで肌を露出した白いワンピースの黒髪ストレートヘアー、女性にしては背が高く塀の高さからしてそれを超える170cmはあるだろう色白の女性が居る。
確認したことで少しざわついてしまうと他の友達も話に加わって不気味さから徐々に騒がしくなる。女性は誰の話し声など聞こえてもないのか振り向くことすらなく異様にゆっくりと塀沿いを歩き出す、ただ唖然としながらも周囲に通行人は居ないのか左右を見ていたとき何気なくカーブミラーにその女性が映って居ない事を目撃してしまう。なにかの間違いだろうと交互に塀沿いの女性も見てみるもやはり塀沿いに居る。
とんでもない物を見付けてしまった様な気持ちで友達にカーブミラーを指さしジェスチャーで教えてみるが通じず声に出し教える。
状況を把握した友達は急ぎ窓を閉めようとした、それをまた止めようとする友達。そうしながらもやはり皆季節外れな服装の鏡に映らない女性が気になり、ただ歩いて行くのを言葉を失ったまま眺めていた。
白いノースリーブワンピースの女性は塀沿いにある勝手口の側で立ち止まる、有り得ないほどスローに半透明へと変化し半透明から消え去る、それはほんの10秒にも満たない出来事だった。
ー RAINBOW ー