奇妙な体験

理解不能な奇妙な体験を残していく

白マスク

(2020/00/00)その翌年かもしれない晩秋


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カナルイヤホンを失くした頃、外出先から帰宅すると寝床頭上部に置いてある小さなサイドテーブルの下方を見ると見覚えのない成人用大サイズ白マスクが落ちてあった。

買置きしてあるマスクとは明らかにサイズも違うことで不気味さからつまんでゴミ袋へと捨てた。

誰か侵入しているのかと疑問を抱くも、独り暮らしであり、合鍵など誰にも渡しても貸してもいない、戸締まりはしている事から理解不能な状態だった。


数日間後気にしていた紛失中のカナルイヤホンがトイレに投げ捨てたように成人用大サイズの白マスクと共に落ちていた。これでマスクは2度目だった。

先程のトイレでは全くそんな物は落ちてもなかったというのに、カナルイヤホンが見付かった事よりも成人用大サイズの白マスクを2度も置かれてあり不安になるほどだった。


そのような出来事も続き、友人との連絡も絶えてしまう状態となる、ある日友人から外出の誘いが来たので参加。

友人に軽くだけ出来事を伝えてみると心配してくれて過去の元住居巡りをして自分ルーツをドライブがてら確認してみようと提案してくれた。

住んでいるところから離れた街にある子どもの頃住んでいた懐かしいマンションの部屋へと夜になり友人と車で向かう。

到着したものの友人は車で待機しているというので心細いながらスマホ片手に元居住マンションの懐かしい部屋へと向かった。昇降は階段しかなく少しだけ薄暗い、そこを1段1段気を付けながらひとり目的の3階へと登って行く。

到着寸前、階段であの2度も見ている同様の成人用大サイズ白マスクを目撃することになり恐怖した。目撃が3度目にもなると流石に気味悪く少しだけ引き返したくなるほどの寒気を感じた。

軽く息が切れるほどの駆け足で目的部屋へと向かい空き部屋だと確認だけして写真撮影をする。


行くところ行くところにある不自然な成人用大サイズの白マスク、想像ならば誰かが先回りして捨てていると受け取れるけど現実的にならば何にも要因すらなく全てが不気味で謎でしかない。


友人も暗いトーンで冗談ではぐらかしていた。


ー RAINBOW ー

カーブミラーに映らない女性

(1986/00/00/秋)


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当時特に仲の良い友達だけに誕生日の知らせをして自宅に来てもらっていた。

一通りお祝いも終わり場も和んできた時、肌寒かったその日ファンヒーターで部屋が暑く感じたのか友達が窓を開けた。そのまま外を見続けていた友達があまりに不動なままなので声を掛けると「ワンピースの女の人がいる寒くないのかな」と不安気な声で返答してくれた。

それはどこかと質問して教わるまま見てみると丁度自宅塀沿いに立っていた。覗き見ながら観察すると季節外れも常識範囲を超えたノースリーブで肌を露出した白いワンピースの黒髪ストレートヘアー、女性にしては背が高く塀の高さからしてそれを超える170cmはあるだろう色白の女性が居る。

確認したことで少しざわついてしまうと他の友達も話に加わって不気味さから徐々に騒がしくなる。女性は誰の話し声など聞こえてもないのか振り向くことすらなく異様にゆっくりと塀沿いを歩き出す、ただ唖然としながらも周囲に通行人は居ないのか左右を見ていたとき何気なくカーブミラーにその女性が映って居ない事を目撃してしまう。なにかの間違いだろうと交互に塀沿いの女性も見てみるもやはり塀沿いに居る。

とんでもない物を見付けてしまった様な気持ちで友達にカーブミラーを指さしジェスチャーで教えてみるが通じず声に出し教える。

状況を把握した友達は急ぎ窓を閉めようとした、それをまた止めようとする友達。そうしながらもやはり皆季節外れな服装の鏡に映らない女性が気になり、ただ歩いて行くのを言葉を失ったまま眺めていた。

白いノースリーブワンピースの女性は塀沿いにある勝手口の側で立ち止まる、有り得ないほどスローに半透明へと変化し半透明から消え去る、それはほんの10秒にも満たない出来事だった。


ー RAINBOW ー

1日での変化

(2000年/00/00/年始めから数年後の春)



単にツイてない出来事が多く自責状態になり気味で気持ちは滅入っていた。

気分転換にと自宅部屋を離れ1日実家へ帰省、泊まり寝る。談笑のある通常な家庭時間を過ごすことで気持ちも少し落ち着いた。

リフレッシュして礼を述べ帰宅する。


到着し鍵を差し玄関を開けた、そこから続く廊下、何かがある。

廊下の明かりをつけ凝視してみると、左右に分かれて天井から蜘蛛の巣が密集したまま壁へと伸びており垂れ幕状で5か所ほど形成されていた。


たった1日、数時間、何故こんな事になるのか。これまで蜘蛛被害など遭ってもなかったというのに不審を感じながら丈を長くして丸めた新聞紙で仕方なく取り払わないと不気味で他の部屋に行けない。

そうして不快な作業を終えキッチンへ向かい家族と話しながら食事作りにと冷蔵庫を開けた。

何か見てはいけない見たこともない何かが見え危険を感じ咄嗟にドアを閉める、もしかすると錯覚だったのかと疑い再度ドアを開いてみる。

有り得なさ過ぎて動作を止めた、確認すると庫内の左右壁に数ミリメートルから1センチメートルの鮮やかで濃いオレンジ色の巻き貝がびっちりと張り付いている。単純に怖くてドアを閉じる。


行動を振り返っても、夜部屋出て夕方帰宅まで24時間もない時でこれだけ部屋の変化があるのか自問自答してみても害虫被害や食品腐敗も常識としてあり得るはずもない。

掃除後のはずがホコリだらけになっている廊下、異型の蜘蛛の巣、食品は腐っておらず冷蔵庫内左右壁に鮮やかなオレンジ色の細長い巻き貝の発生。いや有り得ない、また非常識な何かを目撃して現実にそれが起きているというのに手応えも答えもなく怯える感情を抑えることに精一杯だった。専門家に連絡して調べてもらおう等の選択肢など正常性を保つことを優先するばかりで追いつけてもいない。


夜も迫っていて空腹であったので意を決し軍手をして謎の巻き貝を撫で落とすと内部に生物が詰まってはいたようでも単に殻の貝を袋で揺らしたかのような「ジャラジャラ」と乾いた音がしていた。蜘蛛の巣と使用済み新聞紙を捨てていたゴミ袋にその貝集めた。


もう関係した人物たちは思い出したくないと言う。



ー RAINBOW ー